アルカンヘルギター館 覚え帳(再)第11号
【バルベロ・イーホのモデル開発《弦長と塗装について》】
今から20数年前のことです。
マドリーのアルカンヘル工房を訪ねたおり、アルカンヘルがギターの胴体の木製型枠を6種類ほど私に見せて「この中から一番気に入ったフォルムを選んでくれれば今後マルセロ・バルベロ・イーホも自分も、その型で統 一してギターを作るよ」と言いました。私は最も美しいと感じたひとつを迷うことなく選びました。すると彼は驚いた様子で「その型は師マルセロⅠ世が使っていたもので、私も工房を引き継いだ初期の頃使っていたものだ」というのです。
これには今度は私がびっくりしてしまいましたが、それ以降、アルカンヘルが私に作ってくれるギターは全てマルセロⅠ世のスタイルに統一されることになり、今日まで続いています。
前号で一寸触れましたが、この時に私はアルカンヘルからバルベロ・イーホの新モデル開発を託され、バルベロⅠ世時代の雰囲気が感じられる糸巻きを開発すべくフステーロ社をたずねることになった訳です。
ギターのモデル開発では、弦長・ボディーサイズと塗装が大きな考慮点です。
1970~80年当時は箱が大きく弦長の長い、化学塗料による塗装が全盛の時代でした。ホセ・ラミレスⅢ世の弦長は664mm、エルナンデス•イ•アグアドは660mm、アルカンヘル工房でさえ655mmでした。弦長は車のエンジンの排気量のようなものですから、長くして箱を大きくすればより大きな音が出るという考え方によるものでした。
ギター製作にはバランスが大事です。大きな箱には長い弦長、小さな箱には短い弦長がマッチします。アルカンヘルの師、マルセロⅠ世も最後期には655mmの弦長で製作していたので、当然アルカンヘルもこの弦長で作り慣れていた訳ですが、先に私が選んだマルセロⅠ世のスタイルで、少し小型の美しい木枠で作ることになるのですから、弦長を650mmで作ってくれるようアルカンヘルに依頼しました。
650mmは現代ギターの標準です。トーレスやサントスも650mmでした。
塗装は伝統的なセラックニスの手塗りの復活をお願いしました。
化学塗料による吹き付け塗装は、短時間で仕上がり、厚い塗膜を貼ったようになるのでメンテナンスも楽だとあって採用されていた作業方法です。これに対し、セラックの手塗りでは、塗布・乾燥・研磨を根気よく繰り返しますから、完成に2ヶ月程度を要します。また、塗膜が薄く熱にも弱いので、メンテナンスにも気を使わなければなりません。
しかし、ギターの本質を示す「音色」では、セラックニスに軍配が上がります。
化学塗料は、厚く一枚の膜を張ったような人工的な音色になり、セラックは、みずみずしい木質感をもった音になります。
アルカンヘルはしぶしぶながらも私の提案を聞き入れてくれ、これがきっかけでマドリー派の製作家に「弦長650mm、セラックの手塗り」が広がっていきました。
今から20数年前のことです。
マドリーのアルカンヘル工房を訪ねたおり、アルカンヘルがギターの胴体の木製型枠を6種類ほど私に見せて「この中から一番気に入ったフォルムを選んでくれれば今後マルセロ・バルベロ・イーホも自分も、その型で統 一してギターを作るよ」と言いました。私は最も美しいと感じたひとつを迷うことなく選びました。すると彼は驚いた様子で「その型は師マルセロⅠ世が使っていたもので、私も工房を引き継いだ初期の頃使っていたものだ」というのです。
これには今度は私がびっくりしてしまいましたが、それ以降、アルカンヘルが私に作ってくれるギターは全てマルセロⅠ世のスタイルに統一されることになり、今日まで続いています。
前号で一寸触れましたが、この時に私はアルカンヘルからバルベロ・イーホの新モデル開発を託され、バルベロⅠ世時代の雰囲気が感じられる糸巻きを開発すべくフステーロ社をたずねることになった訳です。
ギターのモデル開発では、弦長・ボディーサイズと塗装が大きな考慮点です。
1970~80年当時は箱が大きく弦長の長い、化学塗料による塗装が全盛の時代でした。ホセ・ラミレスⅢ世の弦長は664mm、エルナンデス•イ•アグアドは660mm、アルカンヘル工房でさえ655mmでした。弦長は車のエンジンの排気量のようなものですから、長くして箱を大きくすればより大きな音が出るという考え方によるものでした。
ギター製作にはバランスが大事です。大きな箱には長い弦長、小さな箱には短い弦長がマッチします。アルカンヘルの師、マルセロⅠ世も最後期には655mmの弦長で製作していたので、当然アルカンヘルもこの弦長で作り慣れていた訳ですが、先に私が選んだマルセロⅠ世のスタイルで、少し小型の美しい木枠で作ることになるのですから、弦長を650mmで作ってくれるようアルカンヘルに依頼しました。
650mmは現代ギターの標準です。トーレスやサントスも650mmでした。
塗装は伝統的なセラックニスの手塗りの復活をお願いしました。
化学塗料による吹き付け塗装は、短時間で仕上がり、厚い塗膜を貼ったようになるのでメンテナンスも楽だとあって採用されていた作業方法です。これに対し、セラックの手塗りでは、塗布・乾燥・研磨を根気よく繰り返しますから、完成に2ヶ月程度を要します。また、塗膜が薄く熱にも弱いので、メンテナンスにも気を使わなければなりません。
しかし、ギターの本質を示す「音色」では、セラックニスに軍配が上がります。
化学塗料は、厚く一枚の膜を張ったような人工的な音色になり、セラックは、みずみずしい木質感をもった音になります。
アルカンヘルはしぶしぶながらも私の提案を聞き入れてくれ、これがきっかけでマドリー派の製作家に「弦長650mm、セラックの手塗り」が広がっていきました。
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